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老人ホーム紹介センターはなぜ無料?仕組みと注意点・選び方

K

kaigo-shukatsu.com 編集部

  • 公開日2026.10.22

読了12分

老人ホーム紹介センターはなぜ無料?仕組みと注意点・選び方

目次

  • 結論:無料なのは、施設が紹介料を払っているから
    • お金の流れ
    • 紹介手数料はいくらくらいか
    • 紹介会社には、まだ法律上の決まりがない
  • 2024年に問題になったことと、その後の国の動き
  • 仕組みから来る注意点
    • 提携している施設しか紹介されない
    • 紹介会社によって提携数・得意な地域が違う
    • 担当者によって相談の質に差がある
    • 入居を急かされると感じたら断ってよい
    • 複数の紹介会社を使ってもいいか
  • 紹介センターの選び方
  • 相談する前に家族で決めておくこと
  • 紹介センターを使わずに探す方法
    • 地域包括支援センターに相談する
    • ケアマネジャーに相談する
    • 自治体の公表情報を見る
    • 介護サービス情報公表システムで検索する
    • 施設に直接問い合わせる
  • よくある質問
    • 紹介センターを使うと、施設の費用が高くなる?
    • 紹介センターに相談したら、必ず入居しないといけない?
    • 複数の紹介センターに同時に相談してもいい?
    • 特別養護老人ホームも紹介してもらえる?
    • 信頼できる紹介センターかどうか、どう確かめる?
  • まとめ
  • 参考資料

親の老人ホームを探し始めると、「老人ホーム紹介センター」「入居相談室」といった名前の会社がたくさん出てくる。相談も見学の手配も無料だという。便利そうだが、無料と言われると、かえって何か裏があるのではと気になる人もいるだろう。

この記事では、紹介センターがなぜ無料なのか、その仕組みから何に気をつければいいのかを整理する。紹介センターを使わずに探す方法も並べておくので、使うかどうかを決める材料にしてほしい。

※制度や数字は2026年10月時点で、厚生労働省の公開資料と事業者団体の公式ページで確認できた範囲のものだ。


結論:無料なのは、施設が紹介料を払っているから

紹介センターを使っても利用者が料金を払わないのは、入居が決まったときに、施設の側から紹介会社へ紹介手数料が支払われるからだ。いわゆる成功報酬で、紹介会社の収入は基本的にこの手数料だけになる(高齢者住まい事業者団体連合会 厚生労働省検討会 提出資料、2025年4月28日)。

お金の流れ

誰が誰に何を払うか
入居する本人・家族紹介会社払わない(相談・見学同行などは無料)
入居する本人・家族施設入居一時金や月額の家賃・管理費・食費など
施設紹介会社成約したときに紹介手数料

入居の契約は、施設と本人が直接結ぶ。紹介会社は契約の当事者ではない。厚生労働省の資料でも、入居希望者と紹介会社のあいだには「契約書なし・手数料なしがほとんど」と整理されている(厚生労働省 有料老人ホームの現状と課題について(追加資料)、2025年6月20日)。

紹介手数料はいくらくらいか

業界団体の高齢者住まい事業者団体連合会(以下、高住連)が2025年に行った実態調査では、紹介会社ごとの紹介手数料の平均額は20万円台で、月額家賃の1〜2か月分にあたる会社が約半数だった。一方で、がん末期や難病の人について、月額家賃に比べて高額な手数料を設定している例も確認されている(厚生労働省 有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会 とりまとめ、2025年11月5日)。

手数料は施設が払うものなので、利用者の請求書に載ることはない。ただ、施設の運営費の一部であることには変わりない。

紹介会社には、まだ法律上の決まりがない

不動産の仲介業者は宅地建物取引業法で免許制になっていて、重要事項の説明や手数料の上限が決まっている。老人ホームの紹介会社は、施設の情報を提供しているだけで仲介ではないとされ、宅建業法の規制は受けない。厚生労働省の検討会の資料には「現在、紹介事業者に対して法規制は存在しない」と書かれている(同とりまとめ)。

いまあるのは、業界団体による自主的な届出の仕組みだ。これは後で詳しく書く。


2024年に問題になったことと、その後の国の動き

紹介センターを使うかどうかを考えるうえで、知っておいてほしい経緯がある。

2024年秋、一部の有料老人ホームが、入居者が難病などの場合に、紹介会社へ1人あたり最高150万円(平均の約6倍)を支払っていたと報道された。要介護度や医療の必要度に応じて高い手数料を払う、という形が、社会保障費の使い方として問題視された(同とりまとめ)。

その後の動きは次のとおりだ。

時期出来事
2024年11月8日厚生労働省が高住連に、紹介会社の届出公表制度の見直しを要請
2024年12月6日厚生労働省が有料老人ホームの標準指導指針を改正。社会保障費の不適切な使い方を助長すると誤解される手数料を設定しない・応じないことを明記
2025年1月高住連が、届出をする紹介会社の遵守項目を改定
2025年11月5日厚生労働省の検討会がとりまとめを公表。紹介会社の「優良事業者認定」の仕組みを作る方向を示す
2026年6月「社会福祉法等の一部を改正する法律」が成立(6月25日公布)。有料老人ホームを届出制から登録制に改める

2026年の検討会資料では、登録制の施行は公布から2年以内とされている。登録の申請書には、紹介会社を使う場合の手数料設定の考え方を書かせる案が示されている。紹介会社の優良事業者認定制度は、創設に向けて2026年度に調査研究と認定基準の検討を進めるとされている(厚生労働省 検討会 第8回 資料3、2026年7月29日、同 第9回 資料2、2026年9月18日)。

つまり、2026年10月の時点では、紹介会社を見分ける公的な認定はまだない。使う側が自分で確かめる必要がある。


仕組みから来る注意点

提携している施設しか紹介されない

紹介会社が紹介できるのは、手数料の契約を結んでいる施設だけだ。高住連の遵守項目でも、紹介会社は「個別に提携している高齢者向け住まいを紹介していること(すべての高齢者向け住まいから紹介しているわけではないこと)」を利用者に説明するとしている(高住連 紹介事業者届出公表制度)。

紹介会社と提携していない施設は、そもそも候補に出てこない。親の家のすぐ近くに施設があっても、その会社と提携していなければ紹介されないということだ。

紹介会社によって提携数・得意な地域が違う

全国に拠点を置く会社もあれば、一つの県や市だけで営業している会社もある。提携しているホームの数も会社ごとに違う。高住連の検索ページでは、届出をした会社の提携法人数・提携ホーム数・紹介できるエリア・相談方法(対面か、電話・オンラインか)が公表されている(高住連 提出資料)。

親が住みたい地域で、その会社がどれだけの施設と提携しているかは、最初に聞いておきたい。

担当者によって相談の質に差がある

紹介の仕事には、資格も行政への届出もいらない。高住連自身が、厚生労働省の検討会で「電話一本で誰でも始められるビジネス」になっており、相談の質に差がある懸念を課題として挙げている(同資料)。高住連は相談員向けの基礎講座(eラーニング)を用意しているが、2025年4月時点で受講した相談員は届出相談員の約3割だった。

同じ会社でも担当者によって知識や対応は変わりうる。話がかみ合わないと感じたら、担当者を変えてもらうか、別の会社に相談すればいい。

入居を急かされると感じたら断ってよい

紹介会社は、入居が決まらなければ収入にならない。そのため、決断を急がせる力が働きやすい構造ではある。高住連の遵守項目でも、「必要以上に不安をあおり契約を迫る」勧誘は、消費者契約法に触れるおそれのある例として挙げられている(高住連 紹介事業者届出公表制度)。

「この部屋はすぐ埋まる」と言われても、見学や比較を省く理由にはならない。紹介会社への相談は契約ではないので、途中でやめるのも自由だ。断るときは「家族で考え直します」と伝えれば足りる。

複数の紹介会社を使ってもいいか

使ってよい。会社ごとに提携先が違うので、2社に聞けば候補は広がる。

ただし、同じ施設を2社から紹介されると、施設と紹介会社のあいだでどちらに手数料を払うかの問題が起きる。高住連の遵守項目には、紹介が重なったときの扱いをあらかじめ決めておくことが含まれている。利用者が困ることではないが、すでに見学した施設や、別の会社から紹介を受けた施設は、正直に伝えておくと話がこじれにくい。


紹介センターの選び方

相談する前に確かめること

  • 高住連の「紹介事業者届出公表制度」に届出をしているか(届出紹介事業者の検索)
  • 親が住みたい地域で、何か所の施設と提携しているか
  • 提携先しか紹介できないことを、最初に説明してくれるか
  • 紹介手数料を施設から受け取る仕組みを、聞けば説明してくれるか
  • 「全施設を紹介」「業界No.1」といった言い方をしていないか
  • 入居のお祝い金やキャッシュバックをうたっていないか
  • プライバシーポリシー(個人情報の扱い)を公表しているか
  • 返事を急かさず、見学や比較の時間をくれるか

いくつか補足しておく。

届出は任意なので、届出をしていない会社がすべて悪いわけではない。ただ、届出をした会社は上の遵守項目に同意しており、守らない場合は高住連が公表を取り消すことがある。確かめる手がかりとしては使える。届出事業者は2025年4月時点で629あった(同とりまとめ)。

「業界No.1」「すべてのホームを紹介」といった表現は、高住連の遵守項目で、景品表示法に触れるおそれのある例として挙げられているものだ。お祝い金・キャッシュバックで客を集めることも、倫理に反する行為の例として示されている。

厚生労働省の検討会のとりまとめでは、紹介会社が自分の立場、施設から手数料を受け取ること、手数料の算定方法を、入居希望者に事前に書面で示す対応が必要だとしている。いまは義務ではないが、聞いたときにきちんと答えられるかは、その会社の姿勢を見る材料になる。


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相談する前に家族で決めておくこと

紹介会社に任せきりにしないために、次のことは家族で先に話しておくと、提案された施設を自分たちで判断しやすい。

家族で先に決めておくこと

  • 月々払える金額の上限(年金・預貯金から)と、入居一時金をいくらまで出せるか
  • 住む地域(親のいまの家の近くか、子どもの家の近くか)
  • 要介護度と、医療的なケア(たんの吸引、インスリンなど)が必要かどうか
  • いつまでに入居したいか
  • 見学に誰が行くか

まだ要介護認定を受けていないなら、先に申請しておくと話が進めやすい。施設によっては入居の条件に要介護度が入っているからだ。申請のしかたは「介護保険の申請は家族が代わりにできる」にまとめている。


紹介センターを使わずに探す方法

紹介センターは手段の一つにすぎない。次の方法と組み合わせると、提携先以外の施設も視野に入る。

地域包括支援センターに相談する

地域包括支援センターは、高齢者の総合相談などを行う機関として市町村が設置している。全国に5,487か所(支所を含めると7,374か所、2025年4月末)ある(厚生労働省 地域包括ケアシステム)。特定の施設から手数料を受け取る立場ではないので、地域にどんな施設があるかを聞く最初の窓口になる。

ケアマネジャーに相談する

すでに介護サービスを使っているなら、担当のケアマネジャーは親の状態をよく知っている。地域の施設の評判や、親の状態に合う施設の種類について意見をもらえる。

自治体の公表情報を見る

有料老人ホームは、老人福祉法にもとづいて施設の情報を都道府県知事などに報告し、都道府県などはそれを公表することになっている(厚生労働省 事務連絡 2021年6月23日)。千葉県のように、各施設の重要事項説明書を県のサイトで公開している自治体もある(千葉県 有料老人ホームの経営状況等の報告について)。「(都道府県名) 有料老人ホーム 一覧」で検索すると、自治体のページが見つかることが多い。

介護サービス情報公表システムで検索する

厚生労働省の介護サービス情報公表システムでは、特別養護老人ホームなどの介護保険施設に加え、2021年から有料老人ホームも検索できるようになった。ただし、有料老人ホームの登録はまだ十分ではなく、掲載されていない施設が多数あると検討会でも指摘されている(同とりまとめ)。ここに載っていないから存在しない、とは考えないほうがいい。

施設に直接問い合わせる

気になる施設があれば、紹介会社を通さずに直接見学を申し込める。2020年度の国の調査研究では、高齢者住まいへの入居ルートで最も多いのは「本人・家族からの直接申込み」で、紹介会社経由は介護付きの施設(特定施設)で25%程度、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅で1割程度だった(同とりまとめ)。


よくある質問

紹介センターを使うと、施設の費用が高くなる?

紹介手数料は施設が払うもので、利用者が紹介会社に料金を払うことはない。ただし手数料は施設の運営費の一部ではある。気になる場合は、紹介会社を通した場合と直接申し込んだ場合で費用や条件が同じかを、施設に確かめるとよい。

紹介センターに相談したら、必ず入居しないといけない?

その必要はない。利用者と紹介会社のあいだには、通常は契約も料金も発生しない。紹介された施設がどれも合わなければ、断ってかまわない。

複数の紹介センターに同時に相談してもいい?

してよい。会社ごとに提携している施設が違うので、候補が広がる。同じ施設を別の会社から重ねて紹介されることがあるので、すでに見学した施設や紹介を受けた施設は、担当者に伝えておくと手配がこじれにくい。

特別養護老人ホームも紹介してもらえる?

紹介会社が紹介できるのは、手数料の契約を結んだ提携先に限られる。特別養護老人ホームが候補に入るかどうかは、その会社に確かめる必要がある。特別養護老人ホームの申込み方法は、市区町村の介護保険の窓口か地域包括支援センターに聞くのが確実だ。

信頼できる紹介センターかどうか、どう確かめる?

高齢者住まい事業者団体連合会の紹介事業者届出公表制度に届出をしているかが一つの手がかりになる。届出をした会社は、提携先しか紹介しないことの説明や、お祝い金で客を集めないことなどの遵守項目に同意している。国の優良事業者認定制度は創設に向けて検討中で、2026年10月時点ではまだ無い。


まとめ

  • 老人ホーム紹介センターが無料なのは、入居が決まった施設から紹介会社に紹介手数料が支払われる仕組みだから。手数料の平均は20万円台で、家賃の1〜2か月分にあたる会社が約半数
  • 紹介会社には法律上の規制がまだ無い。2024年の高額紹介料の問題を受けて、国は有料老人ホームの登録制を法律で決め、紹介会社の優良認定制度も創設に向けて検討中
  • 紹介されるのは提携先だけ。提携数や得意な地域、担当者の質は会社によって違う。急かされたら断ってよく、複数社に相談してもよい
  • 選ぶときは、高住連の届出の有無、提携先の数と地域、手数料の仕組みを説明してくれるかを確かめる
  • 地域包括支援センター、ケアマネジャー、自治体の公表情報、介護サービス情報公表システムも合わせて使うと、提携先以外の施設も候補に入る

最初の一歩としては、親の住所を担当する地域包括支援センターに、地域にどんな施設があるかを聞いてみるのがいい。そのうえで紹介センターを使うなら、高住連の検索ページで届出を確かめてから相談すれば、比べる目を持ったまま話を聞ける。


参考資料

  • 厚生労働省 有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会「とりまとめ」(2025年11月5日)
  • 厚生労働省 同検討会(第2回)資料3 高齢者住まい事業者団体連合会ほか「『高齢者向け住まい紹介事業者届出公表制度』の現状・あり方」(2025年4月28日)
  • 厚生労働省 同検討会(第4回)資料2「有料老人ホームの現状と課題について(追加資料)」(2025年6月20日)
  • 厚生労働省 同検討会(第8回)資料3「これまでの議論の経過及びご議論いただきたい論点」(2026年7月29日)
  • 厚生労働省 同検討会(第9回)資料2「登録制の施行に向けた対応について」(2026年9月18日)
  • 厚生労働省「地域包括ケアシステム」(地域包括支援センターについて)
  • 厚生労働省 老健局高齢者支援課 事務連絡「介護サービス情報公表システム(生活関連情報)への有料老人ホームの情報公表・検索機能追加等について」(2021年6月23日、京都市掲載)
  • 厚生労働省「介護サービス情報公表システム」
  • 千葉県「令和8年度有料老人ホームの経営状況等の報告について」
  • 高齢者住まい事業者団体連合会「紹介事業者届出公表制度」「届出紹介事業者検索」

Kaigo・Shukatsu Note

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この記事を書いた人介護・終活ノート編集部

親の介護と自分の終活、迷ったときの判断軸を整理する読みものを発信。厚生労働省や自治体の公式情報をもとに、40〜60代の家族向けに書いている。運営者について詳しく →

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