親の墓を、自分の代でどうするか。遠くて通えない、跡を継ぐ人がいない、管理費や草取りの負担が重い。墓じまいを考え始める理由はさまざまだが、最初に知りたいのは「いくらかかるのか」「何から始めるのか」「親族とお寺にどう話すのか」の3つだろう。
改葬(遺骨を別の墓地などへ移すこと)の件数は、厚生労働省の衛生行政報告例によると、平成26年度の83,574件から令和6年度の176,140件へ、約2.1倍に増えている(衛生行政報告例「第6表 埋葬及び火葬の死体・死胎数並びに改葬数」、e-Stat)。墓の行き先を考え直す家庭は、いまや珍しくない。
この記事では、手続きの流れ、費用がどこにかかるか、親族とお寺への伝え方、遺骨の行き先の選び方を順に整理した。
※制度や数字は2026年10月時点で、法令と国・自治体の公式資料で確かめた範囲のものだ。書類の名前、窓口、様式は市区町村ごとに違う。実際に動く前に、墓地がある市区町村の窓口と、墓地の管理者(寺院・霊園)に必ず確かめてほしい。
墓じまいは、次の順に進めるのが基本になる。
STEP
親族に相談する
墓の名義人(使用者・承継者)を確かめ、親族の意向を聞く。親が存命なら、親の考えを先に聞く
STEP
墓地の管理者に伝える
寺院や霊園に、墓じまいを考えていることを伝える。撤去の決まりや石材店の指定がないかも聞く
STEP
遺骨の行き先を決める
永代供養墓、納骨堂、樹木葬、手元供養、散骨などから選び、受け入れ先から「受入証明書」をもらう
STEP
改葬許可を申請する
現在の墓地から「埋蔵証明書」をもらい、遺骨がある場所の市区町村に申請して「改葬許可証」を受ける
STEP
閉眼供養・撤去・納骨
遺骨を取り出し、墓石を撤去して墓地を返す。許可証を持って新しい供養先に納骨する
最初の一歩は、墓の名義人が誰なのか、墓地を管理しているのは誰なのかを確かめることだ。ここがわからないまま親族に話しても、話が進まない。
費用は墓の条件で大きく変わる。国や自治体がまとめた全国の統計は、今回確認した範囲では見つからなかった。民間の調査では、墓じまいの実施費用は「31〜70万円」と答えた人が最も多く、約半数が70万円以下だった(鎌倉新書の2026年調査、下の「費用はどこにかかるか」で詳しく書いた)。公営墓地には、返還時に使用料の一部が戻る、撤去費を助成するといった制度を持つ自治体がある。この記事で6つの例を表にした。
「墓じまい」は法律用語ではない。一般には、墓石を撤去して墓地を更地に戻し、使用していた区画を墓地の管理者に返すことを指す。
多くの場合、墓じまいと同時に、墓に納められている遺骨を別の場所へ移す。この遺骨の引っ越しを「改葬」と呼ぶ。墓地、埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)の第5条は、埋葬、火葬、改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長(特別区は区長)の許可を受けなければならないと定めている(墓地、埋葬等に関する法律(e-Gov法令検索))。
許可を出すのは、改葬については遺骨が現にある場所の市町村長だ(同法第5条第2項)。つまり申請先は、いま住んでいる市区町村ではなく、いまの墓がある市区町村になる。墓石の撤去そのものに許可が要るわけではなく、許可が要るのは遺骨を移す部分だ。
総務省の資料は、厚生労働省によると、墓じまいに伴って掘り出した遺骨を①自宅に安置する場合、②散骨する場合は、墓地埋葬法第5条第1項に規定される市町村長の改葬許可は必要ないとされている、と記している(総務省 東北管区行政評価局「墓じまいに関する情報収集結果(別添1)」)。他の墳墓や納骨堂に移す場合は、改葬許可が必要だ。
ただし、「許可が要らない」ことと「どこにでも自由に撒いてよい」ことは別の話だ。同じ総務省の2023年の報告書は、散骨は法や施行規則で想定されていない葬法で、可否や方法は各地方公共団体が自主的に判断するものとしている。墓地埋葬法には、散骨の定義や規制の条項は定められていない。条例の有無や、散骨業者の運用は地域によって違うので、実際に散骨を考えるときは、場所の自治体と業者に確かめる。
墓の名義人は誰か、墓には誰の遺骨が入っているか、親族のうち誰に話を通すべきかを整理する。詳しくは後の「親族に切り出すときの順番」に書いた。
寺院の墓地なら住職、公営墓地や民間霊園なら管理事務所に連絡する。聞いておきたいのは次の点だ。
行き先が決まらないと、改葬許可の申請ができない。受け入れ先が発行する「受入証明書」(名称は自治体や墓地で異なる)や使用許可書が、申請に必要になるためだ。選び方は後の節で説明する。
現在の墓地の管理者に、遺骨がそこに埋蔵されていることの証明をもらう。自治体の申請書の中に、管理者が証明する欄が設けられていることが多い。
申請先は、遺骨が現にある場所(いまの墓地)の市区町村だ。墓地埋葬法施行規則第2条は、申請書に次の事項を書くよう定めている(墓地、埋葬等に関する法律施行規則(e-Gov法令検索))。
添付する書類は、同じ第2条第2項で、次のとおり定められている。
実際の様式は自治体が用意している。たとえば世田谷区では、遺骨を預けてある寺などの証明を受けた改葬許可証交付申請書に、改葬先の受入証明書または使用許可書を添える。遺骨1体につき申請書1通だ(世田谷区 改葬許可)。
手数料は自治体によって違う。横浜市の例では、改葬許可証の手数料は無料だ。ただし、埋蔵証明の発行には手数料がかかる場合があり、墓地管理者に確認するよう案内している(横浜市 改葬許可申請)。これは横浜市の例で、ほかの市区町村が同じとは限らない。
改葬許可証を受け取ってから、遺骨を取り出す。横浜市では、遺骨を取り出すときに許可証を管理者に提示し、渡さずに持ち帰って新しい墓地に出すと案内している。宗教的な儀式(閉眼供養、魂抜きなどと呼ばれる)を行うかどうかは、宗派と家の考え方による。墓石の撤去は石材店が行い、区画を更地にして管理者に返す。
改葬許可証を受け入れ先に提出して、納骨する。許可証は受け入れ先に出す大事な書類なので、紛失しないよう保管する。
自治体の様式を先に確かめる
必要書類、記入欄、窓口は自治体ごとに違う。特に、申請者が墓の使用者本人でない場合に求められる書類は、自治体の案内で確かめる。ここに書いたのは法令にもとづく一般的な流れで、実際の書類は墓地のある市区町村の案内が優先する。
墓じまいの費用について、国や自治体が全国の平均額を調べて公表した統計は、今回確認した範囲では見つからなかった。目安になるのが、お墓の情報サイト「いいお墓」を運営する株式会社鎌倉新書の調査だ。
同社の「第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年)」は、墓じまいを実施中または実施済みの399人に、かかった費用を聞いている。
| 実施費用 | 割合 |
|---|---|
| 30万円以下 | 16.8% |
| 31〜70万円 | 31.3% |
| 71〜110万円 | 18.8% |
| 111〜150万円 | 11.3% |
| 150万円以上 | 14.0% |
| わからない | 7.8% |
31〜70万円が最も多く、30万円以下と合わせると約半数(48.1%)が70万円以下だった。一方で、110万円を超えた人も4人に1人(25.3%)いる。同社は、金額の差について、解体する墓地の広さや、遺骨の引っ越し先に選ぶ永代供養墓・納骨堂の違いを挙げている。
この調査の対象は、同社のサイトを通じて資料請求や霊園見学をした人のうち、墓じまいを実施した人だ。全国の平均を表す数字ではないので、幅の目安として見てほしい。実際の金額は、見積もりを取って確かめるしかない。
(出典:株式会社鎌倉新書「第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年)」。調査期間 2026年1月16日〜23日、インターネット調査、有効回答733件のうち実施費用の設問は399件)
以下では、費用がかかる項目と、金額が動く条件を整理する。
| 項目 | 何にかかるか | 金額を決める主な要素 |
|---|---|---|
| 墓石の撤去・処分 | 石材店による解体、運搬、処分、区画の整地 | 区画の広さ、墓石の量、重機が入るか、墓地までの距離 |
| 閉眼供養のお布施 | 墓を閉じる際の読経など | 寺院・宗派・地域の慣習。決まった額はない |
| 遺骨の取り出し | 納骨室からの取り出し、必要な場合は洗骨や乾燥 | 遺骨の数、納骨の状態 |
| 証明書・許可の手数料 | 埋蔵証明、受入証明、改葬許可の申請 | 自治体や管理者による。無料のところも有料のところもある |
| 新しい供養先の費用 | 永代供養墓、納骨堂、樹木葬などの使用料・納骨料 | 供養先の種類、遺骨の数、供養の期間・人数 |
| 離檀料(あれば) | 寺院との関係を終えるときに渡すお金 | 寺院との関係。明確な基準はない |
| 交通費・手間 | 現地への往復、立ち会い | 墓地までの距離、回数 |
国民生活センターは、墓じまいには改葬の手続きのほかに、墓の撤去や更地にする費用、新しい墓の購入費などが必要だと注意している(見守り新鮮情報 第286号)。どの項目も、見積書や案内書面で、何が含まれて何が別なのかを確かめる。
寺院や霊園によっては、墓の工事を指定の石材店に限っている。この場合、他社と見積もりを比べられないことがある。指定があるかどうかは、最初に管理者に聞く。指定がなければ、複数の石材店から見積もりを取り、撤去の範囲(整地まで含むか、処分費は含むか)を同じ条件にそろえて比べる。
公営墓地には、使用をやめて返還するときに、使用料の一部を戻す、原状回復(墓石の撤去など)の費用を助成する、といった制度を設けている自治体がある。2026年10月22日に各自治体の公式ページや条例で確認できた例を表にした。
| 自治体 | 制度 | 要点 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 東京都立霊園 | 合葬埋蔵施設等への施設変更(条例第20条の2) | 使用者が死亡した場合に承継する人がいないと認められるとき、使用する施設を合葬埋蔵施設や樹木型合葬埋蔵施設に変更できる。変更後の施設の使用料は徴収しない。既納の使用料・管理料は原則還付しない(条例第15条)。使わなくなった施設は原状回復して届け出る(条例第16条) | 東京都霊園条例 |
| 千葉県市川市 | 霊園一般墓地返還促進事業 | 使用許可後3年以内に未使用で返還すると納付使用料の2分の1、それ以外は4分の1を返還。原状回復費用の助成もあり、限度額は区画の種類と面積で異なる(第1種普通墓地4.0平方メートルで24万円など) | 市川市 霊園一般墓地返還促進事業 |
| 千葉県浦安市 | 墓所返還者等支援事業 | 返還者は、改葬先の使用料の負担なしで合祀室を使える。墓石撤去費等の助成は上限15万円 | 浦安市 墓所返還者等支援事業 |
| 群馬県太田市 | 八王子山公園墓地 墓石撤去費用助成金 | 返還届を出し墓石の撤去を終えた利用者が対象。墓石撤去に支払った総額(祭祀費用を除く)か20万円の、低いほうの額。撤去後に領収書などを添えて申請する | 太田市 墓石撤去費用助成金 |
| 大阪府岸和田市 | 岸和田墓苑 墓所返還金 | 原状回復して返還すると、使用料の一部が還付される。未使用で経過1年未満は使用料の80%、1年以上は50%、改葬跡地は25%(還付金算出表) | 岸和田市 墓所の手続き |
| 大阪府泉大津市 | 公園墓地 使用料の還付 | 助成ではなく、条例にもとづく使用料の一部還付。返還時は、許可から15年未満で既納使用料の50/100、15年以上30年未満で30/100(条例別表3) | 泉大津市公園墓地条例 |
表の見方で、いくつか断っておく。
制度は予算や条例の改正で変わる。ここに挙げた自治体以外にも、制度があるところはあるかもしれない。親の墓が公営墓地なら、使用許可証に書かれた管理者(市区町村の担当課や公営霊園の事務所)に、返還時の扱いを確かめるのが確実だ。
国が墓じまい全般に出す補助金は、確認できた範囲では見つからなかった。表の制度はどれも公営墓地のものだ。民間の寺院墓地や霊園での扱いは、それぞれの管理者に確かめる。
なお、上の助成の「限度額」は、制度ごとに決められた補助の上限であって、墓石撤去の実費の目安ではない。
費用の見通しが立たないときは、次の順で考える。
遺骨の行き先に永代供養墓や樹木葬などを選ぶかどうかでも総額は変わる。急いで決めず、複数の資料を取り寄せて比べてほしい。
墓を残すなら、年間の管理費、お布施、墓参りの交通費が続く。承継者が見つからなければ、将来の管理の担い手の問題が残る。墓じまいにかかる費用は一度きりのものと、維持費が続くものを分けて比べると、判断しやすい。
墓じまいの費用を誰が負担するかについて、決まりを定めた法令は、今回の確認範囲では見当たらなかった。承継者が払う、親族で分ける、遺骨を引き取る人が払うなど、家ごとに話し合って決めている。
揉めそうなときは、親族だけで抱えず、法律の専門家(弁護士会の法律相談、法テラスなど)に相談してよい。この記事で法的な判断はしない。
墓地の使用権は、墓地の管理者との契約や使用許可で決まっている。使用許可証や契約書があれば、名義人が誰かわかる。親が名義人なら、親に確認するのが先だ。改葬許可の申請者が墓地使用者でない場合は、使用者の承諾書が必要になる(施行規則第2条第2項)。名義人の確認は、書類の面でも欠かせない。
墓は、親にとって先祖との関わりが深いものだ。子が先に決めてから伝えると、気持ちがこじれやすい。管理が難しくなった事情を伝え、親がどうしたいのかを聞く。
誰に伝えるかに決まりはないが、墓に納められている人の子や孫、墓参りをしている人には、決めてしまう前に伝えるのが無難だ。国民生活センターも、墓じまいは勝手にはできず、家族・親族と話し合うよう助言している(見守り新鮮情報 第424号)。伝えるときは、次の点を準備しておく。
親族全員の同意が法律上どこまで必要かは、この記事では判断しない。施行規則が求めているのは、先に書いたとおり、申請者が墓地使用者でないときの使用者の承諾書だ。それ以外にどんな書類を求めるかは市町村長が決めるので、墓地がある市区町村の案内で確かめる。親族間で意見がまとまらないときは、弁護士などに相談する。
寺院の墓地にある墓を閉じるときは、住職への連絡が避けられない。決めた結果を伝えるのではなく、事情を説明し、手順を相談する形で切り出すとよい。法要や管理でお世話になってきた経緯があるなら、その感謝も伝える。国民生活センターは、墓じまいには改葬のほかに原状回復なども必要なので、契約内容を確かめ、現在の管理者と話し合って包括的に進めることが大切だとしている(総務省資料に引用)。
離檀料は、檀家をやめるときにお礼として慣習的に寺院へ渡すお金を指して使われる。国民生活センターは、離檀料に明確な基準はなく、納得いかなければ基本的に寺と話し合うよう助言している。
寺院との間のやり取りは、お互いの事情でさまざまだ。ただ、国民生活センターには、高額の請求に困った相談が寄せられている。公表されている例は次のとおりだ。
| 公表 | 相談の内容 |
|---|---|
| 見守り新鮮情報 第424号(2022年6月28日) | 80歳代の女性が、自宅から遠く自分も入るつもりがないため寺に墓じまいを申し出たところ、300万円ほどの離檀料を求められた。払えないと言うと、ローンを組めると言われた |
| 同上 | 70歳代の女性が、跡継ぎがおらず離檀を相談したところ、過去帳に8人の名前が載っているので700万円かかると言われた。不当に高いと感じている |
| 見守り新鮮情報 第286号(2017年7月26日) | 70歳代の女性が、亡き両親の遺骨と位牌を近くの合同納骨堂に移したいと遠方の寺に問い合わせると、250万円を支払うよう言われた |
これらは、相談者から国民生活センターに寄せられた内容を、センターがまとめて公表したものだ。寺院の側の事情や、金額の根拠は、公表資料からはわからない。ここから言えるのは、金額に納得できないときの相談先があることだ。
困ったときは、一人で判断せず、最寄りの消費生活センターに相談する。全国共通の消費者ホットラインは188だ。相談事例は、国民生活センターの「見守り新鮮情報」の一覧(見守り新鮮情報 一覧)で読める。
埋蔵証明書がないと、通常は改葬許可の申請が進まない。管理者が証明書を出さない場合の扱いは、総務省東北管区行政評価局の資料にまとまっている。
どの書面を求めるかは、市町村長の判断だ。全国で一律にどの書面でも認められるわけではない。まずは墓地がある市区町村の窓口に事情を伝え、どんな書類があれば進められるかを相談する。
| 行き先 | 内容 | 確認すること |
|---|---|---|
| 永代供養墓 | 寺院や霊園が供養と管理を続ける墓。合祀(他の人と一緒に納める)か、個別に納める期間があるものなど、形はさまざま | 個別に安置する期間、その後の扱い、遺骨を取り出せるか |
| 納骨堂 | 屋内の施設に遺骨を納める | 使用期間、更新の費用、管理費 |
| 樹木葬 | 墓石の代わりに樹木などを目印にする | 納骨の形、期間、遺骨の取り出し可否 |
| 手元供養 | 遺骨の一部または全部を自宅に置く | 家族が亡くなった後の扱い。自宅安置は改葬許可が不要とされている |
| 散骨 | 遺骨を粉末にして海などにまく | 条例の有無、業者の運用、場所の制限 |
新しい納骨先の価格の目安として、鎌倉新書の「第17回 お墓の消費者全国実態調査(2026年)」では、2025年に同社サイト経由でお墓を購入した人の平均購入金額は、一般墓152.0万円、納骨堂81.5万円、樹木葬71.7万円だった(有効回答1,267件)。合祀の永代供養墓の平均額は、この調査には載っていない。施設ごとの差が大きいので、資料請求や見学で、書面に費用の内訳を出してもらう。
墓じまいは、今ある墓を閉じること。永代供養は、供養と管理を寺院や霊園に任せる仕組みのことだ。墓じまいをして、遺骨の行き先を永代供養墓にする、という組み合わせが多い。
永代供養の条件は施設ごとに違う。「永代」という言葉でも、個別に安置する期間が決まっているものがある。契約の前に、期間、その後の扱い、費用に含まれるものを書面で確認する。
墓じまいの手続きをまとめて相談したいとき
お墓のミキワは、墓石の撤去から遺骨の行き先、改葬の手続きまでをまとめて相談できる墓じまいのサービスだ。費用の見積もりや流れを書面で確かめたいときは、資料請求で比べられる。
墓を残して、お参りと管理費の支払いを続けられるなら、墓じまいは必須ではない。承継者がいなくなり、管理費の支払いや墓参りが途絶えた墓は、管理者が「無縁墳墓」として扱うことがある。
総務省行政評価局は2023年9月、公営墓地における無縁墳墓の調査結果を通知した(総務省 墓地行政に関する調査<結果に基づく通知>)。公営墓地または納骨堂を持つと答えた765市町村のうち、58.2%にあたる445市町村で、無縁墳墓等が発生していた。墓の承継者がいなくなる問題は、全国の自治体で起きている。
縁故者がいない無縁墳墓を改葬するには、墓地埋葬法施行規則第3条で、次の手続きが決まっている。
つまり、管理者の側も、決まった手順と期間をかけて対応することになる。
墓じまいをしない場合も含めて、承継者がいない、管理が負担になっているときの選択肢は、次のとおりだ。
どれを選ぶかは、親族の考えと、費用、遺骨を守る人がいるかで決める。急いで結論を出さなくてもよいが、墓の名義人と管理者の連絡先は、早めに確かめておくと動きやすい。
特に、合祀された後に遺骨を取り出せないかどうかは、契約前に確認する。
| 相談したいこと | 窓口 |
|---|---|
| 改葬許可の申請、書類、手数料 | 墓地がある市区町村の窓口 |
| 墓地の返還、埋蔵証明書、公営墓地の返還助成 | 墓地の管理者(寺院・霊園・公営墓地の管理事務所) |
| 離檀料など、請求の相談 | 消費生活センター(消費者ホットライン188) |
| 費用負担、親族間の揉め事 | 弁護士会の法律相談、法テラス |
親族の同意が法律上どこまで必要かは、この記事では判断しない。施行規則が申請に求めているのは、申請者が墓地使用者でない場合の使用者の承諾書だ。そのほかの書類は市町村長が決めるので、墓地がある市区町村に確かめる。親族間で意見が分かれているなら、弁護士会の法律相談などを使う。
国が墓じまい全般に出している補助金は、確認できた範囲では見つからなかった。公営墓地の中には、返還時に使用料の一部を戻す、撤去費を助成するなどの制度を持つ自治体がある(上の表を参照)。制度は変わるので、墓地の管理者に確かめる。
厚生労働省によると、墓じまいに伴って掘り出した遺骨を自宅に安置する場合は、改葬許可は必要ないとされている(総務省 東北管区行政評価局 別添1)。他の墓地や納骨堂に移す場合は必要だ。実際の手続きは自治体の案内に従い、墓地がある市区町村にも確かめておくと安心だ。
同じ資料で、散骨する場合も改葬許可は必要ないとされている。ただし、散骨は法令で想定されていない葬法で、可否や方法は自治体が判断する。条例で規制している自治体もあるほか、業者の運用にも差がある。場所の自治体と業者に確かめる。
墓地がある市区町村の窓口に事情を説明する。市町村はできるだけ管理者に証明書を出すよう指導し、それでも出ないときは「これに代わる立証の書面」で取り扱って差し支えない、とされている(昭和30年回答)。代わりの書面の例として、墳墓の写真や、証明書を提出できない経緯を書いた申述書が挙がっている(厚生労働省事務連絡、2026年1月23日)。どの書面を求めるかは市町村長の判断だ。
離檀料に明確な基準はなく、納得いかなければ基本的に寺と話し合う、というのが国民生活センターの助言だ。この記事で、払う義務の有無は判断しない。請求内容に納得できないときは、消費生活センター(188)に相談する。
承継者がいなくなり、管理費が支払われなくなると、管理者が無縁墳墓として手続きを進めることがある。無縁墳墓の改葬には、官報への掲載と1年間の立札の掲示が必要で、時間がかかる。管理を続けられるうちは、墓を残してもよい。
墓じまいは今ある墓を閉じること、永代供養は供養と管理を寺院や霊園に任せる仕組みだ。両者は組み合わせて使われることが多い。
宗派ごとに費用が決まっているとする公的な資料は、今回確認した範囲では見つからなかった。金額に影響するのは、閉眼供養のお布施、寺院との関係、地域の慣習といった個別の事情だ。お布施にも明確な基準はない(国民生活センター 第286号)。寺院に直接聞くことになる。
次の一歩は、墓の名義人と墓地の管理者を確かめることだ。そのうえで、墓地がある市区町村のホームページで「改葬許可」の案内を開き、必要書類を確かめてほしい。
確認日はすべて2026年10月22日。
